虚血性心疾患医療連携システム
1.連携システム発足までの経緯
虚血性心疾患医療連携システムは静岡県立総合病院循環器内科と医師会との間で何度も打ち合わせを行い、平成20年(2008)7月発足説明講演会が開催され、平成20年8月より運用が開始されました。このシステムは、狭心症や心筋梗塞を発症した患者のPCI後の治療を、循環器内科が専門ではない診療所の医師にも総合病院循環器内科の医師とともに安心して行っていただくことを目的として作成されました。その後、静岡市立静岡病院循環器内科と医師会との間でこのシステムを基に数回打ち合わせを行い、対象疾患を虚血性心疾患全体(PCI施行後・心筋梗塞後・狭心症・冠攣縮性狭心症・CABG後)に拡大し、静岡市立静岡病院循環器内科との間でも平成21年(2009)5月運用が開始されました。平成26年からは静岡済生会総合病院循環器内科も加わった三病院と医師会でシステムの見直しを行い、平成28年(2016)5月から静岡済生会総合病院循環器内科との間でも運用が開始されました。
2.システムの概要
(1)疾患の対象(虚血性心疾患全体が対象となる)
- 精査(蓄尿検査・画像診断・腎生検など)
- PCI施行後
- 心筋梗塞後
- 狭心症
- 冠攣縮性狭心症
- CABG後
(2)リスクファクター管理目標
- LDL-C<100mg/dl(Friedewald簡易式で)空腹時採血は必須ではない。TGが400mg/dl以上では次回は空腹時採血とする。
- 診察室血圧140/90mmHg未満又は家庭血圧135/85mmHg未満
- 糖尿病ではHbA1c(NGSP)7.0%未満
- BMI<25
- 禁煙
(3)病診連携施設
循環器の病診連携登録を行った診療所(病診連携施設)を対象とする。連携登録は特定の病院のみではなく、全ての病院が対象となる。
(4)対象患者
- 紹介医からの紹介患者:紹介医との連携。
- 紹介医がなく病院で治療している患者:病院側で、患者の希望に応じて登録医から病診連携先を探し、逆紹介をする。
3.システムの運用の実際
連携の概略を「図1」に示します。診療所は受診患者を虚血性心疾患と診断したときに病院に紹介。専門医は必要に応じて、検査・治療を行った後、患者をネットワークに登録し、診療所にもどし紹介します。また、病院で虚血性心疾患の治療している患者の希望に応じて登録医から病診連携先を探し紹介します。専門医は、PCI後の患者では情報シート「表1」、PCI経過観察シート「表2」、PCI後連携パス「表3」を紹介状に添付。また、PCIをしていない患者では情報シート「表1」、連携パス「表4」を紹介状に添付します。診療所では連携パスに従いリスク管理をし、専門医に指示された時期に病院に紹介します。
参加専門医病院
静岡県立総合病院、静岡市立静岡病院、静岡済生会総合病院、静岡赤十字病院
参加するかかりつけ医
195医療機関
登録患者数
約4,353人(2024年3月末時点)