てんかん医療連携システム
1.連携システム発足までの経緯
2015年厚労省による“全国てんかん対策地域診療連携整備体制”がモデル事業としてスタートし2018年に本事業となった際、全国で13機関設置されたてんかん診療拠点機関の1機関として静岡てんかん・神経医療センターが指定されました(添付資料1)。2021年にはてんかん支援拠点病院として全国23病院に拡張されています(添付資料2)。このてんかん支援拠点病院の業務・活動内容の一つとして、“他の医療機関や自治体、関係機関との連携”が有ります(添付資料3)。この“てんかん支援拠点病院と他の医療機関との連携”をより強固に行うため、静岡てんかん・神経医療センター内に地域医療連携室が設置され、地元静岡市におけるてんかん診療体制の強化のため静岡市静岡医師会とてんかん診療連携のシステムを構築したいと、静岡てんかん神経医療センターよりご提案いただいたのがこの連携システム立ち上がりのきっかけです(添付資料4,5)。
令和元年12月5日てんかん神経医療センターとの第1回目の連携協議会を開催し、どのような連携にしていくべきかの意見交換が行われました。てんかんセンターからは、厚労省からの事業説明、てんかんセンターの紹介をしていただき、また実際の問題として、“高齢者でてんかんを見逃されている方が少なくないので、てんかんを少しでも疑う患者を積極的に紹介してほしい”、“逆紹介をしたい時に相当症状が落ち着いている方でも、なかなか受けてもらえる診療所が少なく選定に困っている”といった意見が出されました。医師会側からは、“抗てんかん薬のコントロールが難しそう”、“てんかんを疑う症状の一覧があれば分かり易い”、“判断基準が一般の医師には良く分からない”、などの意見が上がりました。これらの意見を踏まえ、脳卒中連携の様に一般医でも対応可能な循環型連携パスと紹介システムを構築していこうという方向性に意見が一致しました。
令和2年2月5日に2回目のてんかんセンターとの打ち合わせ、同年10月8日に行われた3回目の打ち合わせには静岡市立静岡病院と静岡済生会総合病院、令和3年2月4日の4回目には静岡県立総合病院と静岡赤十字病院にも参加いただきました。これにより、てんかんセンターと診療所との病診連携だけでなく、他の公的4病院と診療所との病診連携及び他の公的4病院とてんかんセンターとの病病連携も視野に入れた連携システム構築を目指すこととなりました。以後、第5回(同年3年6月3日)、第6回(同年9月14日)と主に情報提供書や連携パスの作成などの打ち合わせ会を重ね、システムの構築が完成しました。
キックオフミーティングとして同年12月14日、“第一回イーツーネットてんかん病診連携システム講演会(於:ホテルアソシア静岡)”が開催され、てんかん病診連携システムの運用開始となりました。
静岡てんかん神経医療センターの取りくみの詳細は、↓会員ページのこちら↓をご参照ください。
2.連携システムの概要・特徴
① 登録診療所から静岡てんかん神経医療センターへの新規患者紹介
登録診療所を受診されてんかんを疑う患者や現在登録診療所でてんかん治療中の患者(コントロール不良症例、抗てんかん薬中止の相談など)の静岡てんかん神経医療センターへの紹介
特徴:てんかんを疑い得る症状のチェックリストを専門用語は極力控えて作成されています。
チェックリストには紹介目的や相談したい内容の項目も設けています。
これにより、一般医でも気軽に紹介出来る内容になっています。
② 静岡てんかん神経医療センターから登録診療所へのてんかん患者の逆紹介・循環型病診連携
静岡てんかん神経医療センターにて、てんかん治療を受けていて、治療状況の落ち着いた患者(発作が長期コントロール出来ているなど)の診療所への逆紹介・循環型連携
特徴:診療所での診察時、確認すべき項目が連携パスとして作成されています。
項目は、レ点チェックや数値の書き込みが主体で簡便なものとなっています。
3.連携システムの実際の運用
① 登録診療所から静岡てんかん神経医療センターへの新規患者紹介
- 1:情報提供書の作成
- 2:チェックリストへの記入
- 3:受診予約(添付資料6)
- 4:静岡てんかん神経医療センターでの初診外来
- 5:静岡てんかん神経医療センターからの返信
上記1~3の記入・作成の仕方は、↓こちら↓を参考にしてください。
② 静岡てんかん神経医療センターから登録診療所へのてんかん患者の逆紹介・循環型病診
- 1:静岡てんかん神経医療センターでの情報提供書
及び、てんかん連携パスの作成(左欄への記入) (添付資料7) - 2:登録診療所での初診外来
- 3:登録診療所から静岡てんかん神経医療センターへの連携パスへの記入(添付資料8)
- 4:静岡てんかん神経医療センター定期受診・継続連携パスの作成(左欄への記入)
- 5:診療所再診
以後、3→4→5→3→4→・・・・・循環連携の継続
上記2,3の診察ポイント、連携パスの記入・作成の仕方は、↓こちら↓を参考にしてください。
注:②の循環型連携を行うための診療所の要件(添付資料9,10,11)
てんかん患者は、自立支援医療により外来医療費自己負担が1割になります。
そのため、受診医療機関は、指定自立支援医療機関(精神通院医療)の申請が必要です。
精神科、脳神経内科、脳神経外科などの専門でなくても申請出来ます。
申請用紙は静岡市のホームページからダウンロード出来ます。
https://www.city.shizuoka.lg.jp/000_003777.html
4.連携システム登録について
指定自立支援医療機関でなくても、①の新規患者紹介の連携システムはご利用出来ますので ご登録お願いします。登録後、指定自立支援医療機関の申請もご検討いただければと思います。
既に指定自立支援医療機関の診療所は、是非ご登録お願いします。静岡てんかんセンターから逆紹介先が不足しておりますので、よろしくお願いいたします。
登録のための“てんかん病診連携システム登録票”は↓こちら↓からダウンロード出来ます。(IDとパスワードが必要です)
このQRコードからは、診療所名と医師名をご入力されるだけで、医師会事務局にメール送信出来ますので、ご利用ください。