慢性腎臓病(CKD)医療連携システム
1.連携システム発足までの経緯
平成18年(2006年)10月 静岡県立総合病院の腎臓内科との間で第一回静岡腎疾患病診連携の会が開催されました。これは、糖尿病などの生活習慣病が増え、血液透析導入予防のために、腎臓専門医が早期に介入すべき腎臓病患者が増加しており、病院医師=腎臓専門医と診療所医師=かかりつけ医が協働して腎疾患を診療していく必要性が高くなってきている状況を踏まえ、今後の腎疾患に関する病診連携システムの構築に向けて協議を勧めていくことが確認されました。
平成18年11月に2回めの打ち合わせが行われ、静岡県立総合病院 腎臓内科森典子先生から静岡CKDプロトコールが提案され、それに基づいて慢性腎臓病医療連携システムが作成されました。 平成19年(2007年)1月にシステムが紹介、運用が開始され、以後改良を加えながら病診連携が継続されています。以後 かかりつけ医と専門医が集まり、年に1−2回の講演会・勉強会を行い、病診連携の報告と最新の腎疾患に関する知識共有の場を持っています。 2017年からは、本連携システムに関わる医療機関が中心となり、静岡市との協働事業で糖尿病性腎症予防の会(=糖腎防の会)が発足しました。腎臓専門医・かかりつけ医および糖尿病専門医との連携の強化、特定検診における糖尿病性腎症の発症・進行予防プログラムの作成にも注力を行っています。
2.システムの概要
診療所から病院へ紹介する対象患者(専門医への紹介基準:「表1」を参照)
- 0.5g/g・Cre以上または2+以上の蛋白尿を有する患者
- 蛋白尿と血尿がともに陽性の患者
- 年齢と慢性腎臓病重症度分類にて「表1」紹介基準に該当する患者
登録病院(腎臓専門医)における診療内容
- 精査(蓄尿検査・画像診断・腎生検など)
- 治療方針の決定
- 栄養指導
登録病院(腎臓専門医)における診療内容
- 精査(蓄尿検査・画像診断・腎生検など)
- 治療方針の決定
- 栄養指導
登録診療所(かかりつけ医)における診療内容
- 定期の血液・尿検査のfollow
- 体重測定
- 栄養指導内容の遵守状況確認
- 家庭血圧測定状況の確認
- 服薬状況の確認
- 定期的な処方
3.システムの運用の実際
連携の概略を「図1」に示します。 対象患者を診療所の医師が紹介状とともに専門医病院へ紹介。専門医は精査・治療方針の決定・栄養指導などを行い、診療上の助言を付け加え、かかりつけ医へもどし紹介をします。かかりつけ医はその情報をもととに定期の診療を継続し、専門医の指定する期間(数ヶ月〜1年程度)ののち、専門医へもどし紹介を行います。かかりつけ医と専門医の患者の行き来においては、連携パス「表2」を添付します。(状態が安定し、専門医病院でのみの外来通院であった患者を、かかりつけ医へ逆紹介することで連携が開始される場合もあります)
参加専門医病院: 静岡県立総合病院、静岡済生会総合病院、静岡市立静岡病院
参加するかかりつけ医:
登録患者数: 静岡県立総合病院 808人 (2024年3月末時点)