大腿骨頚部骨折病診連携システム
1.大腿骨頚部骨折病診連携システム発足までの経緯
この病診連携は、平成18年から全国で徐々に開始されました。これに期待するものは、急性期病院で手術をし、回復期病院を退院してから歩行能力が低下していること、また再骨折予防のための骨粗鬆症の治療が行われていないことによります。欧米では、日本より10年前に骨粗鬆症による骨折予防目的にビスホスホネートなどの骨粗鬆症治療薬が投与されており、フィンランドでは1995年以降は、頚部骨折が減っていて他の欧米諸国も減っているのに、日本は増加しているのが現状という背景があります。
それを踏まえて、平成21年から静岡市では、急性期病院と回復期病院の間でスタートしました。その後、平成24年1月から、急性期病院から回復期病院の病病の連携に加えて、診療所も参加し病病診の連携が始まりました。病病診の連携に際して静岡市静岡医師会地域医療委員会が主体となり登録などの運営を行いました。静岡市での特徴は、登録連携診療所に整形外科診療所のみではなく外科、内科の診療所を含めたことです。これにより継続的な骨粗鬆症の治療が可能となると思われます。しかし、これまで病病診の連携に診療報酬がついていましたが、平成27年度の診療報酬改定で算定できなくなりました。
現在、年2回のパス会議で現状報告を行い、また、年1回の総会、講演会を開催して経過報告と最新の知見を得ています
2.連携システムの概要
連携の対象となる患者
大腿骨頚部骨折(大腿骨近位部骨折)にて手術適応の患者
急性期病院
手術的治療(人工骨頭置換術、骨接合術)、術後管理
回復期病院
リハビリテーション、在宅復帰援助
診療所
維持期リハビリテーション、骨粗鬆症の治療(再骨折予防)
3.運用の実際
連携の概略
急性期病院から回復期病院、回復期病院から維持期診療所への連携を行います。
必要に応じて、維持期診療所から急性期病院へ術後経過のコンサルトを行います。
連携パス表
連携に際して表に示した地域連携診療計画書、経過報告書を使用します。
参加急性期病院
静岡県立総合病院、静岡市立静岡病院、静岡赤十字病院、
静岡済生会総合病院、静岡市立清水病院
参加回復期病院
静岡リハビリテーション病院、静清リハビリテーション病院、
静岡リウマチ整形外科リハビリ病院、静岡市立清水病院、
静岡厚生病院、静岡徳洲会病院、山の上病院
参加維持期診療所
65診療所