トリアージとは何でしょう。
災害時に多数の傷病者が同時に発生した場合、傷病者の緊急度や重症度に応じて適切な処置や搬送を行うために、傷病者に治療優先順位を決めることを言います。ある意味、死亡確認に近い判断がなされますので、非常に重大で繊細な仕事になります。
阪神淡路大震災では、多くの傷病者が病院に一時期に集中したため、重症度の高い人が治療を受けられず亡くなられた方が多数でました。このことより我々の最大の目標は、「助けられる命を全員助ける」です。
トリアージタッグ表
Ⅰ
赤タッグ
最優先の症例で緊急治療もしくは直ちに病院搬送が望ましい状態です。生命の危機的状態にある症例で、気道閉塞または呼吸困難、重症熱傷、心外傷、大出血または止血困難、解放性胸部外傷、ショックなどがこの病態です。
Ⅱ
黄タッグ
優先度第2位の状態で、赤タッグの対応が終了次第治療にあたる病態です。2~3時間処置を遅らせても悪化しないと考えられる疾患で、熱傷、多発または大骨折・開放骨折、脊髄損傷、意識のある頭部外傷などです。通常なら優先的に治療されてもおかしくない疾患ですが、災害時は赤タッグが優先されます。
Ⅲ
緑タッグ
優先度が低い状態で、軽症で医師以外でも手当てができると考えられる疾患です。小骨折、外傷、小範囲熱傷、(体表面積の10%以内、気道熱傷なし)などで、鎮痛剤や湿布、添え木での固定、消毒などを行います。歩行できる方は、間違いなくここに分類されます。
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黒タッグ
死亡もしくは回復の見込みがない状態です。死亡診断と同等の判断になりますので、慎重に丁寧に判断することになります。呼吸をしていない、脈が触れないなど生命兆候のない症例です。平時なら時間をかけて心肺蘇生術を行い、救命を目指しますが、災害時は最低限の処置しかしないことになりますが、これが災害時のあり方です。