静岡市認知症疾患医療センター事業に伴う認知症医療連携
1.連携システム発足までの経緯
静岡市は、静岡てんかん・神経医療センターに事業委託をする形で、平成25年3月に認知症疾患医療センター事業を開始しました。それに先立ち、静岡医師会と神経医療センターとの間で連携診療のルールに関する協議を行ない、認知症疾患医療センター事業は、イーツーネット病診連携システムに則った病診連携体制で行うことで合意しました。
平成27年9月に溝口病院が事業委託を受け、同様のシステムによる連携で事業を開始しました。
2.システムの概要・特徴について
神経医療センターは主に早期発見・鑑別診断に関して、溝口病院は主にBPSDへの対応を中心とした機能分担をしているのが特徴です。
システムの概要は以下の通りです。
- ご家族等が、認知症疾患医療センター相談窓口へ連絡します。
- センターから、あらかじめ医師会より提供された近隣の連携システム登録医療機関を紹介していただきます。
- そこへ受診していただき、治療開始となるか、あるいは認知症疾患医療センターへ紹介していただきます。
- 認知症疾患医療センターで鑑別診断や治療方針を決定してもらい、紹介元医療機関へ戻し紹介していただきます。
- そこで治療を継続し、必要に応じて認知症疾患医療センターとの連携診療を継続します。
ご家族等が地域包括支援センターや市役所にご相談した場合は、そこから認知症疾患医療センターをご紹介いただくか、あるいはあらかじめ医師会より提供された近隣の連携システム登録医療機関を紹介していただきます。その後の流れは上記した流れと同様です。
3.運用の実際
近隣の連携システム登録医療機関において、改訂 長谷川式簡易知能評価スケールやMMSE等の検査を行い、そこで診断がつき治療が可能であれば、治療を開始します。専門的な検査により鑑別診断が必要であると判断した場合、患者側から専門医紹介の希望があった場合など、紹介状と連携シート[図1]で認知症疾患医療センターに紹介します。認知症疾患医療センターで鑑別診断や治療方針を決定し、紹介状と認知症療養計画書[図2]で紹介元医療機関に戻し紹介していただき、治療が開始されます。[図3]
4.連携システムの登録患者数などの実績について
令和6年3月末現在、静岡医師会における登録診療所数は85件です。連携患者数は、令和5年度実績で、神経医療センターが339人、溝口病院が193人となっています。