静岡市糖尿病連携システム

2025年1月16日 システム稼働開始

🏥 専門医紹介が推奨される患者さま

以下の基準に該当する場合、糖尿病専門医への紹介をご検討ください

📊

血糖管理不良

HbA1C 8.0%超が持続

🔬

尿所見異常

尿アルブミン ≥30mg/g・Cre
または 尿蛋白 1+以上

💉

腎機能低下(年齢別)

49歳以下: eGFR <60
50-69歳: eGFR <50
70歳以上: eGFR <40

💡 eGFR計算の目安: eGFR = 194 × Cr-1.094 × 年齢-0.287 (女性は×0.739)

2025年1月16日に、糖尿病患者さまの包括的なケアを目指す「静岡市糖尿病連携システム」を新たに立ち上げました。本システムは、かかりつけ医と糖尿病・腎臓専門医が円滑に連携し、患者さまを中心に据えた質の高い医療を提供する循環型の連携システムです。

1. 連携システムの必要性

糖尿病は、透析導入の第一位の原因であり、全身に及ぶ合併症により、いずれの科でも診療が必要となる疾患です。患者数は増加の一途をたどっており、その治療・重症化予防は地域医療における喫緊の課題となっています。

本連携システムは、以下の課題認識に基づき構築されました。

専門医不足と地域偏在

静岡市内の糖尿病専門医は29名で、人口10万人あたり4.3名と、東京(8.1名)や大阪(7.4名)と比較して十分とは言えない状況にあります。

重症化予防の遅れ

近年、糖尿病性腎症による血液透析導入患者数の増加が社会的課題となっており、国は「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を策定し、全国の自治体に実施を義務づけています。しかし、かかりつけ医が専門医の支援なく単独で糖尿病管理を継続する場合、多忙な診療環境や専門的判断の困難さから、クリニカルイナーシャ(臨床的惰性)—治療の適切な見直しや強化のタイミングを逸してしまう状態—が生じやすくなります。たとえば、血糖コントロール不良が遷延しても次の治療ステップへの移行が遅れたり、尿中アルブミン定量など腎症早期発見のための検査実施が後回しになったりするケースが見られます。その結果、糖尿病性腎症などの全身合併症が進行し、透析直前になって初めて専門医へ紹介される事態も生じています。

診療連携の負担と情報不足

専門医側からは、診療・検査情報が多く、紹介状作成が大きな負担となり、連携が進まないという声が聞かれました。また、かかりつけ医が糖尿病診療においてどこまで対応できるのか、という「糖尿病診療に対するポリシー」の情報が不足していることも、連携開始の障壁となっていました。

国の医療計画における重点課題

厚生労働省が公表した第8次医療計画の中間取りまとめにおいても、「糖尿病の発症予防、治療・重症化予防、合併症の治療・重症化予防のそれぞれのステージに重点を置いた取組」や、「診療科間連携及び多職種連携の取組強化」が掲げられており、地域全体での医療体制整備が求められています。

こうした背景を受け、静岡市医師会と市内の糖尿病専門医が協議を重ね、医師の書類作成業務負担を軽減し、シンプルかつ機能する循環型の連携システムを構築しました。本システムを通じて、血糖管理がうまくいかない状態が持続している患者さまや、糖尿病性腎臓病の徴候がある患者さまにおいて、心臓病・脳血管疾患の発症や、腎機能悪化による血液透析導入などを最小限に抑えることを目指します。

2. 連携システムの概要

本システムは、かかりつけ医と糖尿病専門医が円滑に連携し、患者さまを中心に据えた質の高い医療を提供する循環型の連携システムです。既存の「糖尿病性腎症重症化予防プログラム(糖腎防)」や「糖尿病性腎臓病(DKD)連携」を包括する内容となっています。

連携システムの仕組み

静岡市糖尿病連携システム

静岡市糖尿病連携システム 連携フロー図

対象患者と紹介基準

かかりつけ医は、以下の基準に該当する糖尿病患者さまを専門医へご紹介ください。

  • HbA1Cが8.0%超が持続している場合
  • 以下のいずれかの糖尿病性腎臓病の徴候がある場合
    • 尿アルブミン指数が30mg/g・Cre以上、または尿蛋白1+以上
    • eGFRが60未満(49歳以下の場合)
    • eGFRが50未満(50~69歳の場合)
    • eGFRが40未満(70歳以上の場合)

連携システムの運用方法

本連携システムは、「連携パス診療情報提供書(または連携パス票)」「糖尿病連携手帳」の2つを情報共有ツールとして活用し、簡易かつ機能的な連携を実現します。

STEP 1

かかりつけ医から専門医への紹介

かかりつけ医は、上記の紹介基準に該当する患者さまに対し、「連携パス開始用(診療所→病院/専門医)」を用いて糖尿病専門医または病院へご紹介し、連携を開始します。紹介目的や依頼したい検査内容などは、チェックボックス形式で簡便に記載できます。患者さまには糖尿病連携手帳を持参していただきます。

STEP 2

専門医による介入ともどし紹介

専門医または病院は、患者さまに対し必要な精密検査(血液検査、尿検査、超音波検査などの画像検査)や介入(栄養指導、糖尿病療養指導士による療養指導など)を行います。介入後、「連携パス返信用(病院/専門医→診療所)」を用いて、診療結果、治療方針への助言、処方内容、次回の専門医受診間隔などを記載し、かかりつけ医へもどし紹介を行います。専門医による定期的な経過観察が必要な場合は、原則として再診の予約を入れます。

STEP 3

かかりつけ医による定期フォローと再紹介

もどし紹介を受けたかかりつけ医は、連携パスに記載された指示に基づき、定期的な通院でのフォローアップを継続します。数ヶ月から1年を目安に、患者さまの病状や血糖管理状況を評価し、次回の専門医受診に向けて「連携パス再診用(診療所→病院/専門医)」を用いて再度専門医または病院外来へ紹介します。

STEP 4

他職種・他科との連携

糖尿病網膜症予防のための眼科受診や、歯周病管理のための歯科受診についても、本連携システムを通じて積極的に協力します。

STEP 5

病院・専門医からの逆紹介

かかりつけ医がいない、または病院・専門医の外来で安定した患者さまを地域の診療所へご紹介する際には、「連携パス開始用(病院/専門医→診療所)」を利用します。

連携パス票ダウンロード

かかりつけ医の先生方へ

📄 初回紹介用パス(Excel形式)

初めて専門医に紹介する場合

使用場面:

  • HbA1C 8.0%超が持続している患者さま
  • 糖尿病性腎臓病の徴候がある患者さま

📄 再診紹介用パス(Excel形式)

定期的な専門医フォロー時

使用場面:

  • 専門医から指定された受診間隔での再紹介時
  • 数ヶ月〜1年ごとの定期的な評価時

専門医の先生方へ

📄 返信用パス(参考資料・PDF形式)

かかりつけ医への返信時

使用場面:

  • 専門医での評価・介入後、かかりつけ医への返信時
  • 診療結果・治療方針・次回受診間隔の伝達

3. 参加医療機関

本連携システムにご参加いただいている主な医療機関は以下の通りです。

専門医療機関

参加かかりつけ医

73の医療機関が非専門医として本システムに登録し、地域医療連携にご協力いただいております。

参考リンク